疎遠に
2022年11月中旬、数年通っていた飲み屋と疎遠になった。
疎遠になった理由をすべて話すと長くなるのでかなり割愛するが、仲良くしていたお店の女の子(以下Aさん)の数多の嘘が大々的に露呈してしまったからだ。
Aさんとは10数年来の付き合いだった。20代だった頃に初めて会ったのだが、当時からAさんは男性にだらしないところがあった。
だが別にAさんに惚れていたわけでもない私は、人の恋愛事情には興味もないので特に関与することはなかった。
ほぼ毎日来る常連の男性(以下Tさん)とデキてるという噂があったが、そちらに関しても私は別に興味がなかった。
しかし結局このAさんとTさんの嘘にまみれた関係が、私や他の多くのお客さんが疎遠になるきっかけとなったのだ。
Aさんの嘘
先ほどは「AさんとTさんはデキてるという噂」と書いたが、結果的にそれは噂ではなく事実だった。
常連であればあるほどお客さんも「あの2人、絶対デキてる」とわかっていたが、自分には関係ないことだと大人の対応として気づいてないフリをしていた。
しかしここですでに問題が起こっていた。
常連さんは気づいてないフリをしてくれてたのに、本人達は「誰も気づいていない」と本気で勘違いしていたのです。
たまに酔ったお客さんが「Aさん、Tさんとデキてるんでしょ?」と突っ込んだりもしていたのだが、その度にAさんは
離婚したばっかりだし、Tさんどころか今は男性に興味ないですよぉ~!
と笑って流していた。
事情を知っている常連さんは苦笑いをするだけだった。
ふらっと飲みに行ったある日、雑談の中でAさんは私にこんなことを言った。
子ども好きだから、あと1人くらい子どもがほしいんだよね。
じゃあまずは相手探しからだね。
AさんとTさんとの関係を私も把握していたが、ここでも大人な対応でしれっと会話を続けた。
だがこのAさんの発言が、後に私を恐怖に叩き落すことになる。
占い
いきなりだが、私は占いが好きである。
信じる信じないは別にして朝のニュースで流れる星座占いが好きだし、タロットカードも所持しているし、手相占いの本や花占いの本を何冊か所持している。
そして1番ハマっているのがオラクルカードだ。
オラクルカードとは「オラクル(oracle)=神託、大きな存在の言葉」を受け取るためのカード。占術としては、偶然性からメッセージをうけとる「卜術(ぼくじゅつ)」のひとつに位置づけられる。通常、40~50枚のカードとガイドブックで構成され、日本では2000年くらいから広く出版されるようになった。現在では、日本には数百種類のカードが出版されているといわれている。そのルーツは、聖書を使って占う書物占い(ビブリオマンシー)を現代風にしたものともいわれている。
Wikipediaより引用
占い方やリーディングがタロットカードより形式ばってないので、気軽に占える感じです。
Aさんも占いが大好きだったので、お店が暇な時にオラクルカードで占うことに。
オラクルカードは相談内容が具体的であればあるほどリーディングがしやすいのだが、この時のAさんからの依頼は「私生活について」という漠然としたものだった。
ちなみにこの時、旦那さんとの離婚話が本格化していたのだが、私はまだそのことを知らなかった。
左から順に過去・現在・未来を示すカードで……
リーディングに入る前に軽く説明をし、1枚1枚のカードを解説することに。
過去についてだけど……
リーディングブックを片手に読み解く私だったが、3枚のカードすべてが繋がってしまいそうだった。
後付けの話だと疑う人もいるかもしれませんが、すべて事実だ。
この占いから少ししてAさんは離婚することになったのだが、その時彼女はこう言った。
あの時は言えなかったけど、占ってもらった時は離婚調停中だったのよ!
まさに「No.36 失恋を癒す妖精」のカードのリーディングが当たっていたというのだ!
自分でも信じられませんでした……
占いは好きだが自己流で学んだ程度、まさか的中するだなんて夢にも思っていなかったからだ。
暴かれた嘘
占いをしてからしばらくして、お店の若い子(以下、Mちゃん)とAさんが揉めるという事件が起こった。
理由は「TさんがMちゃんと親し気にしていた様子に、Aさんが嫉妬した」というくだらないもの。
ちなみにこれは営業中の話であり、Mちゃんは接客の1つとしてTさんとカラオケを歌っていただけだった。
内部でゴタゴタが続き、私はMちゃんから「店に居づらいんです……」と泣きながら相談された。
話を聞いた常連のお客さんも数人巻き込まれることになったので、Aさんのこれまでの嘘が露呈してしまったのです。
さらに、お相手のTさんは口が軽い男だったため、こんな事実まで飛び出してしまう。
「AさんはTさんの子どもを堕ろしていた」
またもオラクルカードのリーディングが当たってしまった瞬間だった。
「No.2 アブサンの妖精」のカードが示していたように、「他のお客さんに気づかれていない」と勘違いしていたAさんとTさんは、いい歳して己の快楽に溺れてしまっていたのだ。
性行為をする時も、Aさんは避妊具を使わずにするのが好きで、中に……
Mちゃんのこの発言だが、酔っ払ったTさんがニヤニヤしながら話してきたのだという。
お互いいい歳なのに、避妊具を用いない性行為がどうなるかわからなかったのだろうか?
ちなみにTさんはバツ1で、親権はないが子どもがいる。
離婚しているので恋愛は自由なのだが、Aさんと堂々と交際・再婚するつもりはないと言っていた。
だからこそ裏でコソコソやっていたのでしょうからね……
笑顔で嘘
人工妊娠中絶をしていた事実が発覚すると、全員の頭に浮かぶものがあった。
Aさんは「胸に腫瘍ができた」と言い、手術のために入院していた時期があり、皆がそのことを思い出していた。
よくよく話を聞くと、入院していた時期がTさんが口を滑らした人工妊娠中絶の時期と近いのだ。
お客さん全員に「胸の腫瘍の手術で……」と、嘘の言い訳をしていたのです。
もちろん「人工妊娠中絶をするから」と大っぴらに宣言することはできなかっただろうが、この話の怖いところが、一緒に店をやっているママ(実母)にも本当の理由を言っていなかったのだ。
お店のママである実母にまで嘘の理由を貫き通したのです。
ここまで読んで「ひどいな……」と思う人もいるかもしれないし、事実を知ったお客さんの中には「ずっと客に嘘をついてたのか!」と激昂する人もいた。
私はモヤモヤしながらも、「まぁ人それぞれの事情だし」と口を挟むことしなかったのだが、Aさんのあの言葉を思い出して全身に鳥肌が立った。
子ども好きだから、あと1人くらい子どもがほしいんだよね。
彼女が「あと1人くらい子どもがほしい」と笑顔で言っていたあの時、すでにTさんとの子どもを堕ろした後だった。
怖かった、非常に怖い話だった。
笑顔で「子どもがほしい」と言いながら、その実は身籠った子を……。
その後
あれ以来、私は店に行かなくなった。
Aさんの嘘に傷ついたお客さんが他の店に流れ、田舎の割に流行っていたお店だったのに、すっかり客入りが減ったらしい。
また、「お客さんに変な噂が流れる原因になった!」という理不尽な理由でMちゃんは一方的に解雇され、Mちゃん解雇の話が広まると、お客さんはさらに減ったという。
一部のお客さんは義理や情で通っているが、頻度は激減しているらしい。
視世さんと飲みたいけど、さすがにあの店には誘えないからね……
そう言って別の店で飲んでる時に連絡してくる始末だ。
今回の話で、私は2つの恐怖を感じた。
1つは、まともに勉強したことないのに、占いのリーディングがすべて的確過ぎた恐怖。
結局は未来パートの「No.10 日食の人魚」のリーディングまで的中してしまった。
そしてもう1つは、息をするように笑顔で嘘をつく人間に対する恐怖だ。
人間だれしも気軽に人に言えないことや、誤魔化してしまうことの1つや2つ、もしくはそれ以上あるだろう。
だが、人工妊娠中絶をしておきながら「子どもがほしい」と笑っていたAさんは、どんな心境だったのだろうか?
人の生命を嘲笑うようなあの言葉、思い出しても鳥肌が立つ。
最後にもう1度明記しておこう。
信じられないかもしれないが、これは2022年末までに起こった実話である。
オラクルカード
今回の話でオラクルカードに興味を持った方はこちら!
私が使っている「oracle of the Shadow & Light」はAmazonで売り切れでした^^;
フィーリングが大事なので、実際に手に取って選ぶのが1番だと思います。
大きな書店だと占い関連のコーナーで販売されていることも多いので、ぜひ実物を見てぴんと来たものを選ぶと良いでしょう。
私も書店で目にし、なんとなく買わないといけないと思って購入しました!
しかしオラクルカードのリーディングで、どうか皆様は怖い思いをしませんように……。
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