【怖い話11】画面をオフに

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怖い話 携帯 スマホ 視世 心霊系の怖い話

前書き

視世陽木
視世陽木

ほとんどの方はこのブログをスマートフォンで読んでいるのではないでしょうか?

 かくいう私も、小説や漫画を読む時はスマートフォンを使用することが増えた。今やスマートフォン(携帯電話)は生活に欠かせないものになっている。

 今回はそんな当たり前に生活に溶け込んでいるスマートフォンにまつわる怖い話。

 読者様、心の準備はいいだろうか? 今回はいつも以上に自己責任にて読み進めていただきたい。

視世陽木
視世陽木

スマートフォンで読んでいる怖がりのあなた、引き返すなら今のうちです。

ツカレテル

坂本
坂本

最近なんかツカれてるんだよなぁ……

 ありふれた日常会話の一コマ。何気なくも幸せな日常を過ごしてる方は、カタカナ表記部が自然と『疲れてる』という漢字に変換されることだろう。

 しかし目の前で呟いた人物が坂本だということを考慮すれば、『疲れてる』という漢字は不正解で、強制的に『憑かれてる』という漢字に変換される。

視世陽木
視世陽木

そうなんだ? バイト増やしたの?

 理解しながらにこんな冗談を言おうもんなら、手ひどい恐怖のしっぺ返しを食らってしまう。

坂本
坂本

そっちの「疲れてる」じゃないよ。

視世陽木
視世陽木

冗談だよ。で? 何か心当たりは?

坂本
坂本

ないね。この世のどこでも人は死んでるから、どっかその辺で憑いてきたんだろ。

視世陽木
視世陽木

視えないの?

坂本
坂本

視えないし聴こえないんだよな。特に何をしてくるわけでもないし、もしかしたら分別のついてない子どもの霊なのかもな。

 以前坂本から聞いた話だが、大人と比べると子どもは『死』という概念が薄いため、霊体となってもしばらくは死んだことに気づいてないことが多いらしい。

視世陽木
視世陽木

まぁ、何もしてこないならいいんじゃない?

坂本
坂本

他人事みたいに言いやがって。何もされないからって、四六時中近くにいられるのは嫌だろ?

視世陽木
視世陽木

それは確かに嫌だな。

 怖いことには怖いが、特別大きな恐怖もなくその日の会話は終わった。

電源をオフにしてください

 数日後、大学構内で偶然坂本に出くわした。

 先日の話が頭の片隅に残っていたため、何となく尋ねてみた。

視世陽木
視世陽木

何日か前に何か憑いてるって言ってたろ? あれどうなった?

すると坂本も何でもない感じで軽く答える。

坂本
坂本

とっくにどっかに行ったよ。逃げていった。

視世陽木
視世陽木

逃げていった?

坂本
坂本

おう。離れてくれたからよかったけど、さすがにあの瞬間はビビったよ……

 年中無休で幽霊が視えている坂本がビックリするとは、珍しいこともあったもんだ。興味を引かれて、つい軽率に話を促してしまう。

坂本
坂本

電気を消して布団に入ったんだけ、その日は何となく寝付けなくてさ。スマホでゲームをしてたんだよ。

 私も寝つきが悪い方なので、容易に想像できる。

坂本
坂本

しばらくして眠くなってきたからスマホの画面をオフにしたのな。そしたら……

 わざとらしく間を取り、声を低くして言った。

坂本
坂本

真っ暗になったスマホの画面に、小さい女の子の顔が写ってたんだよ。

視世陽木
視世陽木

怖っ……!

 日常的なワンシーンであるからこそリアルに想像できてしまい、生々しい恐怖が私を襲った。

坂本
坂本

俺も女の子の霊も油断してたんだよな。さすがに「ウワッ!」って言ってスマホを投げたんだけど、それと同時に気配がなくなったんだ。

 身バレしてしまったから、慌ててどこかに行ってしまったのだろうか。答えはわからない。


 何の脚色もせずに書いたこの話は、文章として読み進めるだけではほとんど怖くないと思う。

 だが、ぜひ自分の生活に照らし合わせて想像していただきたい。真っ暗な部屋の中、スマホだけがぼんやりと淡い光を放っている。少しずつ眠りにいざなわれたあなたは、スマホの画面をオフにする。目の前にあるのは、光を失った無機質な黒い画面。

 本来なら眠たそうな自分の顔だけがうっすら写るはずの画面に、見知らぬ何者かが写り込んでいたとしたら……

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