コオロギ粉末給食とは?
徳島県内にある高校の食物科で調理された、コオロギパウダーを使った給食(かぼちゃコロッケ)のこと。この給食の試食に関して、「子供に食べさせるな!」というクレームが相次いでいる(2023年2月下旬)。
クレーム内容と実態
主なクレーム ①アレルギーが出たらどうする!?
昆虫には、甲殻類アレルギーのアレルゲン(アレルギーの原因となる物資)となる「トロポミオシン」という蛋白質が含有されているため、甲殻類アレルギーがある人は要注意とのこと。
蕎麦アレルギーが有名ですが、食物アレルギーは時に人命に関わることなので無視できません。
高校ではアレルギーに関しての説明を説明した上で、試食するかどうか選べたとのこと。詳しい内容は以下の②にて。
主なクレーム ②嫌悪感を持つ子に無理矢理食べさせるな!
補足を入れておきますが、児童生徒全員が食べる一般的な学校給食ではなく、専門学科の調理技術を上げるための集団調理で、集団給食として提供されたようです。
「甲殻類のアレルギーはありますので、体質的に難しければ食べないでほしいと連絡はしていました。小中学校の給食とは違い、調理技術を上げるための集団調理で、生徒と先生が調理実習として給食を作りました。1回目を終えて、生徒も慣れてきており、受け入れられない生徒もいましたが、多くの生徒が受け入れてくれました」
食物科教諭のコメント Jcastニュース 記事内 より引用
学校側の言い分を簡単にまとめると、「アレルギーについても説明した上で、試食希望者だけに食べてもらった」ということです。
しかしネットでは学校側の言い分についても議論されています。
同調圧力で食べざるを得なかった子もいるはず。
科目としての実習なら半強制的ではないか?
実際のところについては生徒1人1人に確認するしかありませんが、「本当は嫌だった……」と後から言える人は少ないでしょう。
私見ですが、食物科に通う子は食の意識が高いと思うので、「自分が作ったものを食べない」という選択をしたくない子もいたかもしれません。
主なクレーム ③子どもで実験をするな!
来たる食糧危機に備えて昆虫食の開発が推進されていますが、「子どもを実験体にするな!」というクレームも見られました。
教育現場で導入された背景に「子どもの方が大人より忌避感が少なく、新しいものへの好奇心も高い」という理由(言い訳)があったようですが、私にはこれが疑問でした。
日本では昆虫食に否定的なイメージが多いから、忌避感を抱く人にいかに食べてもらうかが先決ではないでしょうか?
昆虫食を取り扱うお店が増えてきたので、昆虫食に忌避感がない人や好奇心旺盛な人は放っておいても自分から食べるでしょう。
主なクレーム ④昆虫食の前に取り組むことがあるだろう!
上述したように食糧危機に備えての昆虫食の開発推進ですが、ネット上では「フードロス対策が先だろう!」というもっともな意見が多いです。
SDGsという名の旗を振りかざしてるだけでは?
コオロギ限定というわけではないようで、昆虫食の開発などが該当する諸々の補助金制度をまとめると、6兆円以上の税金が使われているとかいないとか……。
食糧危機がどうこうじゃなくて、利権がらみなだけなんじゃ……?
忌避感が強い昆虫食を推進するよりは、年間70万トン以上廃棄されているオカラの活用や、牛乳の大量廃棄問題を解決したり、資金を回したりする方が先ではないでしょうか?
メディアの報道も悪い
近年のネットニュース全般に言えることですが、メディアの報道の仕方が諸悪の根源です。
コオロギ粉末を使った料理が給食で!
こんな見出しのニュースが流れてきたら、視聴者や読者が「給食で出すなよ!」「無理矢理食べさせたの?」と反感を持つのは当たり前です。
メディア側はいかに興味を引くかを重視し、インパクトのある見出しを付けているのでしょうが、やり方が汚いですよね。
ダウンタウンの松本氏も言及していましたが、切り抜き記事も悪質なものが多いです。近年のメディアの印象操作は度を越してます。
ニュースの内容を見ずに反応する人も悪い
ニュースの内容を精査せず、記事タイトルだけで賛否を書き込む人にも責任はあります。
専門学科の集団給食で供されたことを意図的に学校給食で供されたように露出したメディアが1番の悪ですが、記事の内容や詳細を少し見れば集団給食で供されたことはすぐわかります。
しかし記事タイトルだけでカッと来てTwitterに「給食で出すな!」「無理矢理食べさせるな!」と軽々しく書くのはいかがなものでしょうか?
特にTwitterは手軽に拡散できる仕様なので、どんなに中身が薄いツイートでもデマツイートでもバンバン拡散されてしまいます。リプでの不毛な言い争いなども多いので、デマや憶測によるツイートはやめておきましょう。
書き込み内容はもちろん、言葉遣いや言い回しにも気をつけた方がいいでしょう。
Tweetとは「小鳥のさえずり」という意味で、Twitterは元々は何気ない一言を呟くツールでした。
しかしSNSとして力を持ちすぎてしまったため、気軽に使うのが難しくなってしまいました。
「おはよう!」という何気ないツイートに対して、部外者が「わざわざそんなこと呟くな!」と噛みついているのを見たことがあります。
第三者が気軽に介入できるのも考えものですね……。
食文化の違い
今回の件はコオロギだったことが問題ではなく、自身の食文化の中に昆虫食が入っているかどうか、というところがポイントだと思います。
たとえば中国では、昆虫を食べるのは当たり前のことです。そのため「中国の〇〇省の〇〇学校でコオロギを使った給食が出されました」なんてニュースは流れません。
他にも、オーストラリアの先住民族アボリジニはウィチェッティグラブという芋虫(ガの幼虫)をタンパク源として食しますし、お腹に蜜を貯めるミツツボアリをお菓子代わりに食します。
ウィチェッティグラブは見た目から完全に芋虫なので、画像なしで^^; ミツツボアリだけ参考リンクよりお楽しみください。
韓国料理ブームなんてものもありましたが、好き嫌いはあるものの韓国ではケブル(日本ではユムシ)が普通に食されています。
なかなかの外観なので、気になる方は自己責任で調べてみてください^^;
自国に目を向けてみると、イナゴやザザムシやハチノコは昆虫食として比較的有名ではないでしょうか?
ただし、日本では日常的に食されているわけではないことにご注意ください。
これは世界中で共通だと思いますが、そもそも昆虫を食するのはタンパク質の確保という目的が大きいです。戦時下や戦後などの食料が不足している状況でのタンパク源としてや、昆虫以外のタンパク質の確保が難しい地域などで昆虫が食されていました。
郷土料理として昆虫食が残っていることがありますが、過去に土地が肥沃でなかったり魚や肉が手に入りにくい場所だったようです。
食文化に話を戻すと、たとえば生卵。卵を生で食べるのは日本ぐらいです。
外国の卵は生食だと危険だという背景も関係していますが、長い歴史の中で「卵を生で食べる」という文化が根付かなかったため、生卵を食すことに難色を示します。
学生時代、「日本の卵は安全だから!」と説明しても、留学生の友達は卵かけご飯を食べようとはしませんでした。
まとめ
今回はコオロギ粉末給食騒動と食文化の関係をまとめました。
食べ慣れてない食材や食べたことがない食材は怖いんです。
「昆虫を食べるなんて!」という人が日本には多いですが、日本は諸外国から「クジラを食べるなんて!」と思われていました。いわゆる反捕鯨。
これって、結局のところは価値観の相違なんですよね。
ネット上でも多く見られましたが、結局はこのまとめに辿り着くのです。
私は昆虫食に忌避感はありませんし、何度か食したことがあります。
中には「普通に食べれる」「ちょっと美味しい?」というものもありましたが、人に食べることを強制しようとは思いません。グロテスクで見た目からして受け付けない、という意見も大いにわかりますからね。
今回のコオロギ粉末給食の騒動は、世間がメディアに上手く踊らされてしまった結果だと思っています。
繰り返しますが、日本では昆虫食が浸透していません。
だからこそ親が「子どもに食べさせるな!」とクレームを入れるのは当たり前のことだと思います。
子どもが心から「食べてみたい!」と賛同していたなら別ですが。
食文化の違いや価値観の相違についてはお分かりいただけたと思うので、皆様はどうかマスメディアに踊らされず、真実に目を向けれる人でいてください。
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